死にたい時は俺に電話しろ 2万人を論破、坂口恭平さん


苦しい時は電話して
著者:坂口恭平
発売日:2020年08月
発行所:講談社
価格:880円(税込)
ISBNコード:9784065207765
本になってるようだ。図書館にあるだろうか


・・・・読みはじめてすぐ、当事者スイッチを押された一言があった。死にたい人の悩みには「個性がない」、という指摘だ。10年電話を受け続けた著者の実感なのだそうだ。
曰く、どんな個人的事情があるとしても、死にたくなる症状はみんな同じだ。共通項は「あれをしなきゃよかった、どうしてこんな性格なのか、どうして他の人とこうも違うのか」と際限なく反省し続けてしまうことだという。なんだ、それなら私にも身に覚えのある症状ではないか。
そうした症状は「熱が出たり、咳が出たり」するのと一緒で生きていれば誰にでも起こる。だからこそ対処可能なのだ。


では、その対処法とはどういうものか。
反省に終始するその思考回路から抜け出すために、頼るべきは「他人の声」。くれぐれも自分で考えようとしないことだ。そう言って自らその役を買って出た著者は、反省することを一旦わきへ置き、ここで「ひとつ作業を入れましょう」と小さな「日課」を手渡していく。パジャマを着替えてみよう、ご飯食べた? 米を炊いて朝ごはんを食べてみよう……。「体が気持ちいいと感じること」を無理のないところから、というわけだ。


そのうえで、先述の相談者たちに対しては、もう一歩踏み込む。各人の記憶の奥、胸の内にしまい込んでいた「好きなこと」を問いながら、こんどは何かを「創作」するという「日課」をそれぞれに提案していく。
だったら、料理を作ってみたら? 曲を書いてみようよ? 今の状況を漫画にしてみるのはどう? ジャズ喫茶がやってみたかったのなら、お店の企画書を書いてみようよ?
すると声を弾ませ「やってみます!」と、相談者たちはすでに凝り固まった思考回路から抜け出し、次の新しい行動へとジャンプしている。
ひとつ作業を入れる、日課をつくる、創作をする――。それ自体が「死なない」ための手製の薬であり、「生きる」ための新しい行動なのだ。そうアドバイスしてくれている。自分にとっての「日課」を見つけるヒントもあったように思う。相談者たちからもその弾むワクワク感をお裾分けしてもらい、なんだか晴れやかな気分にもなった。


死にたいと感じる時は、変化を求めている時でもあるからです。
(略)あなたの性格や人間性のようなものを変えろと言っているのではありません。そうではない変化、つまり、そんなあなたが起こしている行動について変化を求めているのではないでしょうか。僕はそう思います。


「死にたい」思いを抱える人たちに対して「今の自分を受け入れ、ほどほどの生活を行いましょう」ではダメなのだ。「いのっちの電話」が見据えるゴールは、「自殺を食い止めること」=「死にたいと思わなくなること」の、もっと先にある。だからこそ、そのひと自身では気づけなかった新しい行動へと焚き付けていく。
死にたいほど苦しいその思いこそ変化へのチャンスなのだと、本書は教えてくれている。




・・・・
「死にたいと思っている人は、電話に出て、誰かと話さえすれば自殺せずに済む可能性が格段上がる...僕はこれまで10年近くで2万人の電話に出てきたが、電話をしたあと自殺してしまい亡くなられた方は1人だけだ」
国の電話相談は混み合い、つながりにくいという。坂口さんは1日100件かかってきても、すべてに出る。出られない時は、着信履歴を見て折り返す。2万人の相手をしてきて、死にたい人がどんな状態にあるのかが見えてきたそうだ。


「死にたい人は実は『退屈している』...『死にたい』わけではないということに着目してほしい。ただ『退屈』なのだ。『暇』なのだ。それで生きてて面白くないのである。つまり、死にたい、のではなく、楽しみたいのである...10年間の結論である」
ではどう楽しむかとなったところで、多くが「何が楽しいだろうか」と考え、動きが止まる。何事も、やる前にしっかり考えるべきだと教わってきたからだ。


「つまり、みんな『何をどうすればいいのか』ということを悩み、考えすぎているだけなのだ。だからこそ、面白くもない。それで死にたくなっているのである」


「それが難しいとみんな言う...めんどくさいからだ...確かに動くことはめんどくさい、しかし楽しいのである。自分が死にたいのではなく、退屈してるのが面白くないだけだと気づくと、めんどくさかろうが楽しいことを選ぶようになる」
例えばギター。「どう弾けばいいのかと悩んでいても音は永遠に出ない。まずは弦を爪弾くことである...まずは音を出せということである」


音楽でも絵でも、スポーツでも同じだろう。


「自分で考える前にまずやってみて、それが自分の想像を超えるほどうまくいった時、人は嬉しくなる。つまり、楽しくなる...これが楽しみを見つけるコツである」
まずは動くこと、何かを始めること。そして「素敵な先人にコツを一つだけ教えてもらうこと」だという。


「体に合ってることを見つけると、途端に人は死にたくなくなる。だって、褒められたり、うまくいったりすることって、金には変えられない喜びや楽しみがある...得意なことを見つける。それが一番楽しいし、生きる糧にいつかきっとなる」


偶然だが、看護師で僧侶の玉置妙憂さんも、ハルメク10月号のコラムで同じ趣旨のことを書いている。〈ネガティブ思考にとらわれたときは、何も考えず、ただ動き続ければよい...ぐだぐだと頭の中でこねくり回していないで、目の前のことひとつひとつにすべてを注ぎ込んで動くこと〉と。


坂口:そうですね。飽き性な僕が10年ぐらい続けてきましたから。いのっちの電話を始めた2012年は自殺者が3万人を超えていました。見る限り自殺対策もほとんどされていなくて。自分で言うのもあれですが、年間で2000~3000人からの電話を受け続けた結果、一応1万人ぐらい自殺者は減っているみたいです。だからあと20年これをやれば自殺者はゼロになるかなと思っています。


武田:「2万人ぐらいから電話相談を受けて、独自の悩みはなかった」と書かれていてびっくりしました。自殺の悩みには傾向があるということですか?


坂口:「死にたい」は僕から見て、多くても5つのパターンぐらいしかないですね。基本的には「人からどう見られているか」しか考えていないですね。そのことで多くの人が悩んでいます。あとは鬱病の症状で、症状で死にたくなっているんですが、それを症状と思えていない人です。「私は昔から後ろ向きで、今も死にたくて…」と言っていると、「それは病気の症状だよ」と言ってあげています。他者に言うと、その跳ね返りで自分が症状にかかっていることが分かるんですが、死にたいことを人に相談できないんですね。1億人いたらそのうち、7000~8000万人が相談できないみたいなんです。それで頭の中で1人でぐるぐる考えちゃって、死に至るというのが僕の推測です。


武田:『自分の薬をつくる』という本で、坂口さんは人の凝り固まった思考回路を外して、ほかの思考回路を用意されていると思うんですが、どうしたらそれはできるんですか?


坂口:10年近くやってきたので、僕には2万人の声のデータベースがあるんです。たとえばDV夫にイジメられる女性というのは、僕の中でほとんど同じ声なんです。そのデータベースを基に対応策を考えています。あと、僕自身が双極性障害2型と診断されて10年ぐらい苦しんでいました。常に気分の変調があって、その都度対策しなきゃいけないという自分のサバイバル技術があり、その2本の柱が重なっているので、かなり足腰の強いリアクションになるのだと思います。


武田:その足腰の強いリアクションというのは、坂口さんの本を読んでいるとよく分かります(笑)まず重要なのは、誰にでも死にたいという感情は起こるということを引き受けることですよね。「なぜ僕だけこんな思いを…」となるとしんどくなっちゃいますよね。


坂口:「死にたい協定」をたくさん結んでいくと、どんどん楽になりますよ。この世の中で人に言えないことって、「死にたい」だけなんですよね。ほかはまぁ、皆なんとか大丈夫なんですが、「死にたい」だけは完全に孤独で行われているんですよね。


武田:「日課を作ること」をオススメしていますね。本の中でも、「午前4時起床、4時半から原稿4000字、9時朝食…」みたいな感じでやることを細切れで書いていますね。これはなんで良いんですか?


坂口:これも2つ理由があって、1つは2万人に聞いて共通していることがありました。皆、退屈しています。「死にたい」じゃなくて、「退屈している」なんです。「明日なにするの?」と聞くと、「予定決まってないです」が皆の状態です。「明日が来なければいい」じゃなくて、「明日の予定がなにもない」人が多いです。もしくは、ただ働かなきゃいけない人、面白いことで日課を埋められていない人ですね。「自分の好きなことしか日課に入れてはいけません」と言って、電話で治療しています。あともう1つが、小学校4年生が人生で最高の安定期だったんですが、その頃って1時間以内でやることが変わりますよね。時間割とか部活、放課後、夜ごはん、9時に寝るみたいな。そのときの日課が調子良かったのでそのままやろうと思って、まず「坂口恭平学校」を作りました。そこで時間割を作った経験があったので、日課は大切だと思っています。


武田:小学校の頃の時間割って、本人の体調とは関係なくやってくるから、それに乗ると整うことがあるかもしれませんね。


坂口:多様な刺激が脳に入ってきますよね。今は働くことも、付き合う人も1つで決まっているから単純になっちゃってますよね。それを多様な刺激にすることが大事かと思います。




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どうだろうね。さっと目を通してもかなりおかしいと思うぞ
まず、論破するべきものだろうかな?論破されたら多くの人は「もういい。やっぱりわかってもらえない。めんどくさい奴」と思うだろう「そのとおりですね、わかりました」と答えるのではないかな?それにたぶん私の自殺論は論破されないと思うけどね。


次。2万人のうち死んだのが1人と言ってるけどあとから電話をかけなおし全員追跡調査したとは思えないし。何年後まで追跡したのかも不明だ。


3つ目。5パターンくらいしかないといってるけど。個人が2万人のデータを持ってるなら専門研究所はもっと多く持っていてもっと正確な分析をしてるだろう。それが反映されておらずスタッフ各個人の対応でやってるということだろうか?


4つ目。作家なのにあまりにも想像力がない。自分が逃げることが性だからとそれを他人に推奨するのもどうかな。それと逃げられるのなら逃げるのも良い。だが老と死。病気からは逃げられないぞ。アルツハイマーやALSになったら逃げられない。どうするの?


5つ目。暇だから死にたくなる。だから動けと。確かにそこは正しい。でも 動くにはお金と体力と気力と環境がいる。死にたい人はそれができないから相談する。そこはどうなんだ?
DVなら暴力相手をあなたが非暴力にできるのか?災害で数千万借金を抱え家族を失った。動けばその悩みは消えるのか?あなたがポンとお金を出してくれるのか? ちがうやろ。動いて消えるのはその一時だけ、つまり忘れさせるってことだ、医学的にいえば対処療法しかしてない。「痛い?じゃロキソニンをだしておきますね」ちがうやろ。根本解決しないと治らない。言い換えれば自殺の現況を無視して目を逸らせて解決したといってるだけ。話にならんと思う。
ということを電話で伝えたいとおもってしまうな・・wwww